自家製の梅酒作り、毎年の恒例行事にしている方も多いのではないでしょうか。定番のホワイトリカーで作る梅酒も美味しいですが、今年は少し冒険して、芋焼酎で梅酒を仕込んでみるのはいかがでしょう?芋焼酎ならではの甘く豊かな香りと、梅の爽やかな酸味が絶妙に調和し、今までにない濃厚でコク深い、ワンランク上の梅酒が完成します。この記事では、芋焼酎を使った梅酒の魅力から、初心者でも失敗しない詳しい作り方、美味しく仕上げるためのコツまで、余すところなくご紹介します。
なぜ芋焼酎で梅酒を作ると美味しいのか?
「芋焼酎って独特の香りがあるけど、梅と合うの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。実は、その個性こそが最大の魅力なのです。
ホワイトリカーとの違い
一般的な梅酒作りに使われるホワイトリカー(甲類焼酎)は、無味無臭に近く、素材の味をストレートに引き出すのが特徴です。一方、芋焼酎(乙類焼酎)は、原料であるさつまいもの風味がしっかりと感じられます。この豊かな香りと甘みが梅のエキスと溶け合うことで、ホワイトリカーでは決して出せない、複雑で奥行きのある味わいが生まれるのです。
- ホワイトリカーの梅酒: 梅の酸味が際立つ、すっきりクリアな味わい。
- 芋焼酎の梅酒: 芋の甘い香りと梅の酸味が調和した、まろやかでコク深い味わい。
まるで熟成したブランデーやウイスキーのような、芳醇な香りが楽しめるのが、芋焼酎で梅酒を作る最大のメリットと言えるでしょう。
芋焼酎で作った自家製梅酒をロックグラスで楽しむ琥珀色の美しい飲み物
完全ガイド:芋焼酎を使った梅酒の作り方
それでは、早速芋焼酎で梅酒作りに挑戦してみましょう。基本的な手順は通常の梅酒作りとほとんど同じですが、いくつかのポイントを押さえることで、格段に美味しく仕上がります。
準備するもの(材料と道具)
- 青梅: 1kg (傷がなく、ハリのある新鮮なもの)
- 芋焼酎: 1.8L (アルコール度数25度以上、できれば35度が望ましい)
- 氷砂糖: 500g~800g (甘さ控えめが好きな方は少なめに)
- 広口の保存瓶: 4Lサイズ (事前に熱湯消毒またはアルコール消毒しておく)
- 竹串
- 清潔な布巾やキッチンペーパー
焼酎ソムリエ・佐藤 健太郎氏からのアドバイス
「芋焼酎の銘柄によって、出来上がる梅酒の風味は大きく変わります。初めての方は、香りが穏やかでクセの少ない銘柄から試すのがおすすめです。慣れてきたら、焼き芋のような香ばしい香りのものや、フルーティーな香りのものなど、色々な芋焼酎で試して、自分好みの味を見つけるのも楽しいですよ。」
仕込みの手順:ステップ・バイ・ステップ
- 梅の下処理をする
- 梅をボウルに入れ、たっぷりの水で優しく洗います。傷をつけないように、一粒ずつ丁寧に扱いましょう。
- 洗った梅を2~4時間ほど水に浸けてアク抜きをします。
- アク抜きが終わったら、ザルにあげて水気を切り、清潔な布巾やキッチンペーパーで一粒ずつ水気を完全に拭き取ります。ここで水分が残っていると、カビの原因になるので注意してください。
- ヘタを取る
- 竹串を使って、梅のなり口にあるヘタ(ホシ)を丁寧に取り除きます。ヘタが残っていると、えぐみの原因になります。
- 瓶に詰める
- 消毒済みの保存瓶に、梅と氷砂糖を交互に入れていきます。「梅→氷砂糖→梅→氷砂糖」といった具合に、層になるように詰めるのがポイントです。
- 芋焼酎を注ぐ
- 梅と氷砂糖をすべて入れ終えたら、上から静かに芋焼酎を注ぎ入れます。梅が空気に触れないよう、しっかりと浸かるように注ぎましょう。
- 蓋をして冷暗所で保存
- 瓶の蓋をしっかりと閉め、日付と材料を記入したラベルを貼っておきましょう。直射日光の当たらない、涼しい場所(冷暗所)で保存します。
プロが教える!美味しく仕上げるための3つのコツ
せっかく作るなら、最高の芋焼酎梅酒を目指したいですよね。ここでは、失敗を防ぎ、美味しさを最大限に引き出すための重要なポイントを3つご紹介します。
1. 芋焼酎の選び方が成功の鍵
芋焼酎で梅酒を作る際に最も重要なのが、アルコール度数です。
- アルコール度数25度: 一般的に流通している度数ですが、梅のエキスが出るとアルコール度数が下がり、長期保存中に傷んでしまう可能性があります。作る場合は、早めに飲み切ることをおすすめします。
- アルコール度数35度以上: 梅のエキスがしっかりと抽出され、腐敗のリスクも低くなります。長期熟成にも向いており、濃厚な梅酒を作りたい場合に最適です。酒屋さんなどで手に入る「原酒」や「ホワイトリカーと同じ35度のもの」を選ぶと良いでしょう。
2. 氷砂糖の役割を理解する
なぜグラニュー糖や上白糖ではなく、氷砂糖を使うのでしょうか?それにはちゃんとした理由があります。氷砂糖はゆっくりと溶けるため、浸透圧の作用で梅のエキスをじっくりと引き出すことができます。急激に溶ける砂糖を使うと、梅がエキスを出す前にシワシワになってしまい、美味しい梅酒になりません。
3. 「追い焼酎」で香りをプラスする
これは少し上級者向けのテクニックですが、3ヶ月ほど経って梅のエキスがある程度出た段階で、新しい芋焼酎を少量追加する「追い焼酎」を行うと、フレッシュな芋の香りが加わり、より一層華やかな風味の梅酒に仕上がります。
冷暗所で熟成中の芋焼酎梅酒の瓶、梅と氷砂糖がゆっくりと溶け合っている様子
芋焼酎梅酒はいつから飲める?熟成期間と飲み頃
仕込んだ梅酒がいつから飲めるのか、待ち遠しいですよね。
- 3ヶ月後: 梅のエキスが溶け出し、あっさりとしたフレッシュな味わいが楽しめます。
- 6ヶ月後: 甘みと酸味のバランスが良くなり、芋焼酎の風味も馴染んできます。
- 1年後以降: 最もおすすめの飲み頃です。熟成が進み、角が取れてまろやかに。芋焼酎の香りと梅の風味が一体となり、うっとりするような深いコクと香りが楽しめます。
発酵料理研究家・田中 美咲氏からのアドバイス
「梅酒は時間がおいしくしてくれるお酒です。最低でも半年、できれば1年はじっくりと待ってあげてください。時々、瓶を優しく揺らして砂糖を溶かし、梅全体にアルコールが回るようにする『揺すり』を行うと、均一に美味しく熟成しますよ。」
結論:自分だけの特別な一杯を「芋焼酎で梅酒」作りから
定番の梅酒も良いですが、芋焼酎で梅酒を仕込むことで、今までにない芳醇で個性豊かな味わいに出会うことができます。さつまいもの甘い香りと梅の爽やかな酸味が織りなすハーモニーは、一度味わうと癖になること間違いなし。今年の梅仕事は、ぜひ芋焼酎を選んで、自分だけの特別な梅酒を育ててみませんか?手間ひまかけた分だけ、その味わいは格別なものになるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q1: どんな芋焼酎の銘柄がおすすめですか?
A1: 初めての方は、黄麹や白麹を使用した、香りが穏やかでフルーティーな銘柄(例:「富乃宝山」や「三岳」など)が梅の風味を邪魔せず、バランス良く仕上がります。慣れてきたら、黒麹を使ったどっしりとした味わいの銘柄で、より個性的な梅酒に挑戦するのも面白いでしょう。
Q2: 芋焼酎で作った梅酒の味はどんな感じですか?
A2: ホワイトリカーで作った梅酒に比べ、芋焼酎由来の甘く芳ばしい香りと、まろやかで深いコクが加わります。ブランデーでつけたような、リッチで重厚感のある味わいが特徴です。ロックやソーダ割りはもちろん、バニラアイスにかけるのもおすすめです。
Q3: 氷砂糖の代わりに黒糖やはちみつを使ってもいいですか?
A3: はい、作れます。黒糖を使うと、よりコクとミネラル感が強い、個性的な味わいになります。はちみつを使うと、自然で優しい甘さに仕上がりますが、発酵が進みやすいのでアルコール度数の高い焼酎を使う、量を調整するなどの注意が必要です。
Q4: 梅はいつ取り出せばいいですか?
A4: 最低でも3ヶ月、できれば1年ほど漬けておくのがおすすめです。1年以上漬けておくと、梅の種から仁(じん)の成分が溶け出し、杏仁豆腐のような独特の風味が加わります。ただし、あまり長く漬けすぎると梅が崩れて濁りの原因になることもあるため、1年~1年半を目安に取り出すのが一般的です。
Q5: 出来上がった梅酒のアルコール度数はどのくらいになりますか?
A5: 梅から出る水分によって、元の焼酎のアルコール度数よりは低くなります。例えば、35度の芋焼酎で仕込んだ場合、出来上がりの梅酒のアルコール度数は20~25度程度になります。度数が下がることを考慮して、やはり35度以上の焼酎を使うのが安全で美味しく仕上がります。
Last Updated on 12/10/2025 by 寒紅梅酒造株式会社