自家製の梅酒作りは、初夏の風物詩ともいえる楽しい趣味の一つです。しかし、手軽に始められる一方で、「もしかしてこれって法律違反？」と不安に思ったことはありませんか？実は、自家製梅酒と酒税法には密接な関係があり、ルールを知らずに作ると意図せず法律を破ってしまう可能性があります。この記事では、誰でも安心して美味しい梅酒作りを楽しめるよう、酒税法のポイントを分かりやすく徹底解説します。
自家製梅酒作りにおけるアルコール度数の選定は、法律を守る上でも味わいを決定する上でも最初の重要なステップです。一般的に、高い梅酒 度数は梅のエキスを効率よく抽出し、長期保存にも向いています。
そもそも、なぜ自家製梅酒が酒税法に関わるのか？
「家で飲むだけなのに、なぜ法律が関係するの？」と疑問に思うかもしれません。その理由は、酒税法における「みなし製造」という考え方にあります。
酒税法では、お酒にお酒以外の物品を混ぜる行為（混和）は、新しいお酒を「製造」したと見なされる場合があります。梅酒作りは、焼酎やブランデーなどの蒸留酒に梅と砂糖を漬け込むため、この「混-和」に該当するのです。本来、お酒の製造には免許が必要ですが、家庭で個人が楽しむ場合に限り、特例としていくつかの条件を満たせば許可されています。
この特例を知らずにいると、知らず知らずのうちに「密造」と判断されかねません。そうならないためにも、次の章で解説する「合法になるための3つの条件」をしっかり押さえておきましょう。
【重要】自家製梅酒が酒税法で合法になる3つの条件
国税庁が定めるルールによれば、家庭で梅酒（果実酒）を作ることが例外的に認められるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると違法になる可能性があるため、必ず確認してください。
1. ベースのお酒はアルコール度数20度以上であること
最も重要なポイントが、使用するお酒のアルコール度数です。必ずアルコール度数が20度以上の蒸留酒類を使用してください。
- なぜ20度以上？: アルコール度数が20度未満のお酒を使用すると、梅の酵母などによってアルコールが新たに生成（発酵）してしまう可能性があります。酒税法では、新たにアルコール分1度以上のお酒を造り出すことは免許のない限り禁止されています。20度以上の強いお酒を使うことで、この発酵を抑え、安全に漬け込むことができるのです。
- おすすめのお酒:
- ホワイトリカー（甲類焼酎）35度
- ブランデー 35度以上
- ウイスキー 40度以上
- ジンやウォッカ 40度以上
専門家からのアドバイス
酒類アドバイザーの佐藤健太郎氏はこう語ります。「アルコール度数20度以上というルールは、単なる法律上の決まり事ではありません。雑菌の繁殖を防ぎ、梅のエキスを安全に抽出するための、先人の知恵に基づいた科学的な基準でもあるのです。この基準を守ることが、美味しい梅酒作りの第一歩です。」
2. 混ぜてはいけないものを加えないこと
次に、お酒に混ぜてはいけない原材料が定められています。これらは、お酒に混ぜることで「清酒」や「どぶろく」、「ワイン」など、別のお酒を造ったと見なされてしまうためです。
- 禁止されている原材料の例:
- 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷん（いわゆる穀類）
- ぶどう、やまぶどう
- アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類など
梅やレモン、かりんなどの果実や、砂糖、はちみつは問題ありません。基本的には「穀類とぶどう類はNG」と覚えておけば大丈夫です。
3. 個人または同居の家族で消費すること
自家製梅酒は、あくまでも「自家消費」が目的の場合にのみ認められています。
- 販売は絶対にNG: 作った梅酒をフリマアプリで売ったり、お店で提供したりする行為は明確な法律違反です。
- 譲渡も注意が必要: 友人や知人に「おすそ分け」する行為も、無償であっても法律上は「譲渡」と見なされ、厳密には認められていません。個人的な範囲でのやり取りであっても、トラブルを避けるためには慎重になるべきです。
作った梅酒は、自分自身や同居している家族と一緒に楽しむようにしましょう。
ここに注意！自家製梅酒で酒税法違反になるNGケース
合法の条件がわかったところで、次はよくある失敗例や勘違いしやすいNGケースを見ていきましょう。
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アルコール度数20度未満のお酒を使ってしまう
これは最も多い違反ケースです。例えば、一般的な紙パックの日本酒（多くは15度前後）や、料理に使うみりん（本みりんは約14度）で梅酒を作ろうと考える人もいるかもしれません。特に、インターネット上には様々なレシピがありますが、みりん 梅酒を作ることは酒税法に抵触する可能性が非常に高いため、絶対に行わないでください。 -
梅酒に梅酒を継ぎ足して作る
出来上がった梅酒に、新しい梅と砂糖、そしてお酒を継ぎ足して「熟成だれ」のように使う方法もNGです。これも新たな「混和」と見なされ、法律違反になる可能性があります。新しい梅酒は、必ず新しい瓶で一から作りましょう。適切に管理しないと、自家製 梅酒 腐る原因にもなりかねません。 -
お店のメニューとして提供する
自家製の梅酒は、たとえ無償のウェルカムドリンクであっても、飲食店などでお客様に提供することはできません。お酒を提供する免許と、お酒を製造する免許は全くの別物です。
専門家からのアドバイス
「最近は日本酒ベースの梅酒も人気ですが、注意が必要です」と佐藤氏は警鐘を鳴らします。「一般的な日本酒は度数が15〜16度なので使えません。もし試したい場合は、必ずアルコール度数20度以上の原酒などを選ぶ必要があります。ご興味がある方は、梅酒 作り方 日本酒の正しい知識を身につけてから挑戦してください。」
もし酒税法に違反してしまったらどうなる？
万が一、酒税法に違反してお酒を密造したと判断された場合、非常に重い罰則が科せられます。酒税法第54条により、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処される可能性があります。
「知らなかった」では済まされない厳しい法律です。自家製梅酒はあくまで個人の楽しみの範囲に留め、ルールを正しく理解して安全に楽しむことが何よりも大切です。
酒税法違反となる自家製梅酒のNG例として、20度未満の日本酒と梅が描かれたイラスト
自家製梅酒と酒税法に関するよくある質問（Q&A）
最後に、自家製梅酒と酒税法に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: 出来上がった梅酒を料理に使うのは大丈夫？
A1: はい、問題ありません。自家消費の範囲内であれば、飲むだけでなく、煮込み料理の風味付けやデザートのソースとして使うことも全く問題ありません。
Q2: 梅酒作りのキットが売られていますが、あれは合法ですか？
A2: はい、合法です。市販の梅酒作りキットは、梅、氷砂糖、そしてアルコール度数20度以上のホワイトリカーがセットになっています。これらは酒税法で定められた条件をクリアしているため、安心して使用できます。
Q3: 自分で作った梅酒のアルコール度数はどうなりますか？
A3: 梅のエキスや砂糖が溶け出すことで、完成した梅酒のアルコール度数は、ベースに使ったお酒よりも少し下がります。例えば35度のお酒で作った場合、出来上がりは20〜25度程度になるのが一般的です。
Q4: 出来上がった梅を取り出して食べるのはOK？
A4: もちろんです。梅酒の梅はアルコールが染み込んでいて非常に美味しいですよね。そのまま食べたり、ジャムに加工したりして楽しむことができます。これも自家消費の範囲内です。
Q5: なぜぶどうで果実酒を作ってはいけないのですか？
A5: ぶどうを発酵させるとワインになります。ワインの製造は酒税法で厳しく管理されているため、家庭でぶどうを使ってお酒を造ることは、たとえアルコール度数20度以上のお酒に漬けたとしても禁止されています。
まとめ：正しい知識で安全な自家製梅酒ライフを！
今回は、自家製梅酒と酒税法の関係について詳しく解説しました。最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 使用するお酒はアルコール度数20度以上
- 米・麦・ぶどうなどは混ぜない
- 販売や他人への譲渡はせず、自家消費に留める
この3つのルールさえ守れば、自家製梅酒作りは何も怖いことはありません。むしろ、法律を正しく理解することで、より一層安心してこの素晴らしい趣味に打ち込むことができます。一方で、法律を知らないことによるリスクは、楽しいはずの梅酒作りがもたらす梅酒 デメリットの最たるものと言えるでしょう。
今年の夏は、ぜひ酒税法の知識を身につけて、世界に一つだけの美味しい自家製梅酒作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
Last Updated on 15/10/2025 by 寒紅梅酒造株式会社
